【最終回】腹痛と国境越え、それでも旅は続く

トルコ・ギリシャ

― 片道5万円の一人旅#15―

腹痛とともに国境を越える日

午前5時ごろ、強烈な腹痛で目が覚めた。
この時点で心当たりは十分ある。――昨日食べたインド料理だ。辛さのせいなのか、食中毒だったのかは分からないが、とにかく水様便が止まらない。本当は一日ゆっくりしていたかったが、飛行機の予定も詰まっているし、今日も移動日でもある。なんとか踏ん張りながら朝の支度を終えた。

何も食べたくなかったが、少しでも栄養を入れようと駅でジュースを買って飲んだ。これも腹に染みるように効く。さらに今日のチケットも、昨日と同じく電車からバスへの乗り継ぎ。終盤にきて、なぜこんなにきついのか……。旅の中で一番の困難を覚えた。

ここから先は、昨日と同じルートでテッサロニキへ戻る。
到着したころにはもう日が暮れていたが、「戻ってきた」という余韻に浸る余裕もないほど腹痛が襲ってくる。宿に着いたときには、すでに限界寸前だったが、なんとか踏みとどまってチェックインした。受付の初老のスタッフが丁寧に説明してくれたが、作り笑いで応える余裕もなかった。部屋に駆け込み、シャワーを浴びてようやく一息ついたと思ったら、今度は熱が急に上がってきた。

腹痛と発熱という最悪の状況。しかし薬はないので、気休めで食べ過ぎに効く胃腸薬だけを飲み、なんとか溜飲を下げることにした。

翌朝、熱は下がっていなかった。おまけに腹の調子も最悪のまま。
薬はないと言ったが、解熱剤なら一応あったのでそれを飲んでチェックアウトする。今日もまた移動日なので、休んでいる暇はない。長距離バスで国境を越え、旅のゴール地点であるブルガリアの首都・ソフィアへ向かう。

バスターミナルからバスに乗ってからの展開は早かった。すぐに国境に着き、入国手続きもあっさり終わり、あっという間にブルガリアへ入国。ブルガリアもEU圏内ということで、スムーズといえばスムーズなのだが、前回のような「国境を越える達成感」は薄かったのが少し残念だ。

ソフィアから日本へ、旅の終わりと次の始まり

バスターミナルに着いたあと、その足でメトロへ向かう。ブルガリアはEU加盟国だが通貨は独自のものらしい。しかしメトロはクレジットカードで乗れるようなので、両替は不要だった。最寄り駅からホテルへ向かう途中、初めて街並みをしっかり見る。

なんというか全体的に地味で冷たい雰囲気がある。
旧ソ連の構成国だったというイメージそのままという感じだ。

普段なら、このあたりでよさげな店を見つけて食事をするのだが、今日は食欲がまったくない。そのままホテルへ直行した。ホテルのスタッフの対応も街と同じくやや冷たい。しかし、今日は寝るだけなので気にしないことにした。

とはいえ飲み物くらいは買わないといけないので、近くのスーパーへ外出。
詳しくは書かないが、ここで受けたレジの対応が、ブルガリアの思い出を決定づけることになったとだけ書いておく。

気づけば朝だった。身支度を整え、駅へ向かう。
解熱剤を飲んでいるからか、気分は昨日より軽い。出発は夜だったが、この街を観光する体力はなかったので、そのまま空港へ向かった。空港では腹痛に効く薬を購入。英語で症状を伝えるのにひと苦労したが、こういう経験も今後の旅に役立つはずだ。

日が暮れる頃、ソフィアからポーランドのワルシャワへ向かう。
ワルシャワでは成田行きの夜行便を待つ。薬が効いてきたのか体調もだいぶ楽になり、ようやく旅を振り返る余裕ができた。

今回の旅は約2週間。
とんでもない距離を、ものすごいスピードで駆け抜けた。予定を詰めすぎた反省点はあるが、初海外にしては、自分なりにうまく立ち回れたと思う。

搭乗ゲートから機内へ進む。
この先、地に足をつける場所は日本だ。

初めての海外を締めくくったのは、腹痛と発熱というかなりキツい出来事だったが、それすら良い思い出になるのだろうか。
「当分海外はいいや」と一瞬だけ思ったものの、多分この調子だと、数ヶ月後にはまたどこかへ旅に出ている気がする。

次はどこへ行こうか。
そんなことを考えているうちに、機体は静かに日本へ向けて動き始めた。

片道5万円一人旅、完

紹介しきれなかった写真一覧

キョフテバーガー。トルコ料理のキョフテというハンバーグが入っている限定メニュー
カッパドキアでは気球のツアーが有名だが、朝早くに行かなければならないので断念した
これは日本で有名なカードゲームだが、ギリシャでもお目にかかれた

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