― 片道5万円の一人旅#4 ―
人の優しさと消えたカード
グランドバザールから歩いて向かったのは、アヤソフィアという有名なモスクである。
モスクの周辺はさまざまな店が並んでいて賑わっていたので、まずは周辺をぐるっと回ってみることにした。
アヤソフィア周辺にはトラム(路面電車)が走っており、とにかく人が多い。特に欧米人ばかりだ。
まあ、地理的にはほぼヨーロッパだし、物価も比較的安いから、ここに集まるのも納得だ。
途中でトイレに入りたくなったが、どうやらトルコでは有料らしい。
係の人に料金を払おうとしたら、PASMOやSUICAのようなメトロやトラムで使えるICカードのみしか使えないと言われた。
仕方なくICカードを買いにトラムの駅前まで戻る。そこも人だらけで、なかなか自分の番が回ってこなかった。
ようやく順番がきたが、このときの券売機がやたら使いにくい。
悪戦苦闘していると、優しそうな初老の男性が「向こうの売店で買えるよ」と教えてくれ、親切に案内してくれた。
ここで人の優しさに触れて少し気分がよくなり、改めてICカードにチャージするために券売機に戻る。
しかし、ここで最大級のやらかしをしてしまう。
クレジットカードでチャージしようとしたとき、ポケットにカードの感触がない!
鞄の中、財布の中、すべて探したがどこにも見当たらない。来た道を戻っても落ちていない。
「まさか、あのおっさんが?」
考えたくはなかったが、その可能性も浮かぶ。
とはいえ、さっきの場所は人混みでごった返していた。見つかるわけもない。
絶望しながら券売機の前で立ち尽くしていると、自分と同じようにカード購入に悪戦苦闘している男性がいた。
「まあ、さっきは助けてもらったし、今度はこっちが助けるか」と思い、彼を売店の場所まで案内してあげることにした。
その短い道中で彼がオーストラリアから来たことや、券売機に100リラ吸い込まれたことなどを陽気に話してくれた。
売店が見えてきたところで「あそこだよ」と教えると、感謝の言葉とともに50リラ札を手渡してきた。
正直、チップ的なものをもらったのは初めてで動揺した。
断るタイミングも逃し、そのままありがたく受け取ることに。
「きっと、オーストラリア人的な感謝の文化なんだろう」と解釈し、
絶望の中でも誰かに優しくしたことで、少し救われた気分になった。
(※ちなみにこのあと交番に行ったが、返ってこないのがわかりきっておるのかまともに取り合ってもらえず、泣く泣くカードを諦めることになった。)


観光の疲れと静かなモスク
気を取り直して周辺をいろいろ見て回った。
観光客向けの店でケバブを食べ、広場をぶらぶらしたり、アヤソフィアの次に有名なスルタンアフメトモスクの中に入ったり。
まあ、ここらへんはいかにも観光って感じなので、詳細は割愛。
そんなこんなでチェックインの時間になったので、宿へ向かうことに。
朝から寝不足で、重いリュックを背負って歩き回るのにもそろそろ限界。
「シャワーを浴びて、ベッドで横になりたい」その一心で歩いていた。
途中、小さなモスクを見つけた。
言わずもがな、ここはイスラム教国なのでモスクは至る所にあるのだが、
このモスクは先ほどまで見て回った大きなモスクのような派手さはなく、地元の人が通うような落ち着いた雰囲気で、
個人的にはこっちのほうが印象に残った。
宿にチェックインして軽く休憩。
荷物を置いて身軽になったので、もう少し歩き回ってみることにした。


テラスの夕食と旅の余韻
とにかく歩き回るだけでも、ものすごい充実感がある。
見るものすべてが新しいから、飽きることがない。
途中で詐欺まがいの客引きにも何度か遭遇したが……まあ、旅にはつきものだろう。
しばらく歩いてエジプシャンバザールまで来たあたりで、宿の近くまで戻ってきた。
夕食は、テラスのあるいかにも観光客向けの店に入ることにした。
本当は地元の手頃な価格の店で食べてみたいけど、なかなか見つけられないし、
あったとしても今の自分には入っていける勇気がまだない。
とりあえず頼んだのは、ビールとサラダ、そして茄子の肉詰めのような料理。
テラスでビールを飲みながら、今日一日の疲れを癒す。
海外での実質的な初日だったけど、案外うまくいったのかもしれない――
そんなことを思いながら、なんとなく気分が良くなって、
会計後に100リラのチップをテーブルにさりげなく置いて、宿へと戻った。




コメント
最初の画像の猫は野良猫ですかー?
イスタンブールには様々な野良の動物がいるのですか?
動物とこんなにも近く触れ合えるなんて、素晴らしい街ですね!
おっしゃる通り野良猫ですね
とはいってもちゃんと餌を与えられている保護猫で、
同様に犬もちゃんと管理されている素晴らしい街でした
ぜひ訪れてほしいですね