― 片道5万円の一人旅#3 ―
異国の朝と入国の罠
目を覚ますと、時刻は5時くらいだった。
時差ボケと昨日の疲れはまだ残っているが、ようやくこの長い移動が終わると思うと、気分はだいぶ上向いていた。
機内サービスの朝食を食べ終え、座席前のモニターでフライトマップを眺めると、大陸の上を飛んでいるのがよくわかる。到着が待ち遠しくなってきた。

イスタンブールに、ついに到着。
早く空港の外に出たい気持ちが強く、無事到着した余韻に浸る間もなく、空港内を早歩きで進んでいく。
しかし、またしても小さなミスをやらかしていたことに気づく。
行きの航空券の紛失である。胸ポケットに入れておいたのが、寝ている間にでも落ちて機内に置いてきたのだろう。
とりあえず南方航空のカウンターで再発行してもらおうと考え、探し回ったが、なかなか見当たらない。
なんだかよくわからないけどイライラしてきたので、探すのをやめて空港のスタッフに聞いてみた。
案内された先で、若い女性スタッフにパスポートを提示し、「チケットをなくしたから再発行できないか」と聞いてみるが、反応がいまいち薄い。
「また、うまく伝わってないパターンか」と思ったその時、
気だるそうな態度のまま、強めにパスポートに入国スタンプを押され、「進め」とジェスチャーで促された。
そのまま進んでいくと、気づけばもうそこは制限エリアの外だった。
他の列ではチケットの提示や荷物検査、質問などを受けている人たちが見える。
いくら信頼の厚い日本のパスポートとはいえ、
「こんなテキトーに入国させていいのだろうか」と疑問に思いながらも、
無事に入国できたので良しとしよう。細かいことは気にしないのが旅のコツだ。
空港バスと街の空気
空港を出ると、すぐに市内行きのバスを見つけた。
この時点で現地通貨(トルコリラ)への両替はしていなかったが、クレジットカードで支払いができたので安心して乗り込んだ。
ちなみに空港で両替をしなかったのは、事前の下調べで「空港のレートは悪いからやめたほうがいい」と学んでいたからである。
バスは高速道路のような、きれいに整備された道を快適に進んでいく。
市内に近づくにつれてビルが増え、都会的な雰囲気に。
とはいえ、伝統的な建物も多く見られ、いい具合に調和が取れているのが印象的だった。
バスの停留所はいくつかあると聞いていたので、景色を眺めながら「どこで降りるのがベストか」と考えていたが、
とりあえず乗客が多く降りた場所で、自分も降りることにした。
降りた瞬間、初めての感覚を味わった。
目の前の見たことのない景色、人々の顔立ち、そして独特の匂い
体で感じるすべてが新鮮で、異国の地を自分の足で踏みしめた実感が湧いてきた。
とはいえ、感動ばかりしてもいられない。まずは現地通貨の調達だ。
目の前にATMを見つけたので、キャッシングでトルコリラを引き出すことに。
この時のことも、なぜかよく覚えている。
まず、ATMが外の壁に埋め込まれているという点。
おそらく日本のように独立したATMが置いてあると、治安の問題で盗まれたり破壊されたりするんだろう、と勝手に納得。
そして、通貨の単位がわからずに四苦八苦。
当時は1リラ=約5円だったので、スマホの電卓で計算しながら1万円分ほど引き出した。
その後は、盗まれないようにしっかり用心しながら、ボディバッグにしまって歩き始めた。

初めての飯と不安な路地
とりあえずの目的地は「グランドバザール」。
そこまでの道中、ほとんど人とすれ違わない細い路地が続き、内心ビクビクしながら歩いていた。
グランドバザールの前に着いた頃には、何か軽く口にしたくなった。
目に入ったパンの屋台で、「シミット」という伝統的なパンを買う。
ハンドルのような大きな輪っか型が特徴的で、見た目のインパクトもなかなか。
特に味がついているわけではないが、小麦の風味がしっかりしていて、素朴な美味しさ。
なにより10リラ(約50円)という安さ。これだけでちょっと満たされた気分になれた。
ちなみに、グランドバザールの中はまだ朝が早かったせいか、
ほとんどの店が閉まっていた。開いている店も、装飾品や土産物が多く、
正直、自分としてはあまり心が躍る感じではなかった。



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